Posted by on 2018年04月14日 in 風の心
平成30年5月号 風の心

母が、郷里の母校、西俣小学校の子供たちへ、ある言葉を贈った。昨年11月の事だった。

「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」

今年3月、鹿児島の親戚から、南日本新聞が届いた。「ひろば 若い目特集」と題して、主に子供たちが思い思いに意見、提言、感想などを投稿し、選ばれると掲載されるページがある。そこに、先の言葉を受け止めて書いたのであろう6年生の文章があったのである。

『ぼくの大切な言葉 西俣小六年  持増 優弥

「なせば成る、なさねば成らぬ何事も」。この言葉は、ばくの忘れられない大切な言葉になった。

6年生の2学期にあった、お茶の体験の先生が教えてくれた。どんなことも、やればできる、やらなければできない、という意味だ。できないことがあってあきらめようと思う時に、この言葉を思い出して、どんなことにでもチャレンジすれば、できるような気がしてきた。
ぼくは体育で縄とびがすごく苦手だった。ひっかかった時にくる、ムチのような縄がとてもいたかったからだ。最後の縄とび大会だったので、新技に挑戦してみようと思った。だから「はやぶさ」をやってみた。
最初は1回とぶのが精いっぱいだった。だけど、「なせば成る、なさねば成らぬ何事も」を思い出し、あきらめないで続けた結果、ひっかからずに73回も飛ぶことができた。
この言葉には、弱い力を強い力に変えてくれる、不思議な力があった。その時、この言葉は、ぼくの大切な言葉になった。  (鹿屋市)』

お茶を通じて子供たちに伝えるべき教育の一つが、生きた瞬間だった。

待光庵では、木曜日の17時から、子供茶道教室を開催している。主に小学生を中心に、お茶の点前や客ぶり、花の生け方、掛け軸の読み方や禅語などをお教えしている。
子供達は点前と客の稽古の後、最後に掛け軸の前に座る。今年度、下は小学3年生から上は中学1年生。学んでいる漢字の量も質も異なる。それでも一緒に軸の前に正座して、下級生は何でも分かると元気良く、上級生は下級生を気遣い遠慮しながら、私とやり取りをする。
一つでもいいから読める字がありますか?何の字に見える?声に出して言ってみて!続けて読むと?それはどういう意味かな?・・・テンポの速い私の質問に、ものすごい集中力で頭をフル回転させる。文字を見る、記憶を探る、考える、これだと思ってみんな必死で発言する。今日の掛け軸は「大道無門」。低学年と高学年が協力して、読むことができた。

「では、大きな道に門が無いって、どういうことですか?」
モジモジしながら、最年少の3年生、可愛い彼女がゆっくりと静かに話す。
「ゴールに着いても、もっと先があるから、そこで終わらないでずっと努力しなくちゃいけないこと。」
小さな瞳は大きなことを、見事にこの四文字から読み取っていた。一般的に入り口の門を連想することが多い中、彼女はゴールの門を描いた。理解の仕方、捉え方は更に広がった。

愛らしくて素直で、心清らかな子供達・・・その素晴らしく純粋な姿からパワーをもらい、こちらが学ばせて頂いている。何の気負いも、ずるさも無い、澄んだ心に感謝するばかりである。

平成30年4月12日 畑中香名子