Posted by on 2018年07月19日 in 風の心
平成30年8月号 風の心

子供たちの七夕が終わった。みんな今年も短冊に願い事を書いて、大切なお弟子さんから頂いた笹の葉に吊るすことが出来た。人数がだいぶ減ったものの、やはり書かれていることはなかなか面白い。その笹と短冊は、暫く茶室に飾られ、大人の茶道クラスの皆さんが童心に返るお手伝いをしていた。世代を超えて、共に茶の湯を学び楽しむ仲間同士の、心の交流が生まれる様子を、嬉しく有難く拝見していた。

「さあ、今日は短冊に願い事を書きましょう。短歌の形で詠みますよ。考えがまとまったら墨を使って筆で書きます。」

「えーっ・・・」

と言いつつも、すぐに作業に入る子供たち。あれこれと呟きながら、その小さな手のひらを何度も開いたり閉じたり、指をおって言葉の数を確認する。天井を眺め、遠くを見つめる大人とはその姿が異なり、可愛らしい。学校で習字の勉強があるからか、出来上がると自然に筆を取り書き始める。字の綺麗さ何てことよりも、余白に書くイラストを考える方が先のようだ。

小学校高学年の子供たち

・世の中を 変えていきたい 私たち

・六の四 みんなで大繩五百回 苦しくたって乗り越えられる

小学校低学年の子供たち

・天の川 願いを込めて短冊に 絵が上手になりますように

・ほとけさま 家内安全よろしくね 父さん母さん仲良くしてね

三歳の女の子

 ・(平仮名でお名前を書き、好きなキャラクターの絵を描いた。)

 世の中の改善を自ら行いたい、苦しい大縄跳び成功の祈願、絵の技術向上を願う、両親の心の平和を仏さまにお願いする、そして小さな女の子は上手に自分の名前を書く。

 

 本日の掛軸は「吸尽西江水」。いつものように、

「はい、読める字がありますか?」と問う。

「はい、はい、はいっ・・・」と、みんなが手を上げる。盛り上がる。単独の字が読めると、

「意味は何でした?」

「西江の水を全部飲む!」

「そんなこと、出来る?」出来ないという子もいると思った。

「友達みんなで飲めば出来る!」

「十年やれば出来る!」・・・色々な意見が殺到する。

「そう!その通り。出来ると思えば出来る。出来ないと思ったら絶対に出来ない。決して諦めず、まず出来ると思うことが凄ーく大切。短冊に書いた願いを叶えよう。趣味でも勉強でも何でも。さあ、もう一度声に出して言いましょう、きゅうじんすせいごうのみずっ!・・・」

繰り返す、繰り返す、声に出して何度も何度も。速さを変え、トーンを変え、何度も声に出して言う。そうして彼女たちの脳裏に、確実に焼き付いていく。

「きゅ・・・じゅ・・・す・・・みじゅ・・・」三歳のお嬢さんも。

私の大切な未来の宝物。知ったかぶりも嘘も、駆け引きもずるい下心もない、美しい子供たちの心に、また禅語が一つ響く。

平成30年7月13日  畑中香名子