Posted by on 2020年03月6日 in 風の心
令和2年3月号 風の心

世情はあまりにも落ち着かない毎日です。テレビは連日の報道で、どこの誰がどうなったかを明らかにしようと試み、国会では総責任者の首相の隙をついて攻めることに集中し、物がないだのあるだのと情報は拡散して、それらの事象に踊らされることもしばしば・・・。時間は待ってくれないので、次々と感染は広がり、倒産する会社が増え、人生で取り戻せないことが起きています。
落ち着いて両足を地面につけて、ちょっと踏ん張って考えてみてはどうでしょうか。坐禅でもして目も頭も、心も空にして、深呼吸をしてみてはどうでしょうか。今は心を寄せ合って、協力して立ち向かうとき。どうしようか、どうすればよいか、どのような良い例があるかなどを早急に探求し、実行に移し、みんなで乗り越える努力をするとき。そのような気がしています。

このような中、梅見の茶事にお越しいただきました皆様には、心より感謝申し上げます。共に幕末の和巾点の歴史を振り返り、各服点の本来を感じ入り、楽しく茶事のひと時を過ごさせて頂きました。また、中止になってしまいました日にご参加予定の皆様には、申し訳ございませんでした。大変残念なことでしたが、どこかで日にちをとり、また個別に行わせていただきたいと思っております。ご期待ください。

今年は梅の開花が早く、茶事の折には白梅に加えて紅梅も美しく花開いていました。そっと風が吹くと、その花びらがはらはらと舞い、気持ちの良い音を立てて流れる滝の水面に浮かびます。浮かんだ花びらは水の流れに身を任せ、自然体でありのまま、流れていくのです。
こんなことをフェイスブックに載せましたら、沖縄の方からコメントが。沖縄には水面に浮かんだ花びらを掬い、ボーイフレンドに贈りたいという古歌があると、教えて下さいました。どのような歌でしょう。このコメントはとても嬉しく、興味深いことでした。
花びらのように生きることができたら・・・そう考えていました。花も、水も、空も、生き物も、すべての自然から学ぶことがたくさんあります。茶の湯は、そんな時間や経験を授けてくれます。そして、感性を磨いてくれます。文明の発達した現代において、非常に貴重であり、細やかに人間を形成する手段が、茶の湯。小さな子供からお年寄りまで、同じく感じ入り胸を躍らせるのです。

今、背中を丸めてスマホを見ずに、空を見上げませんか。今、目をつむって水の音を聞き、花を愛でませんか。そんな心持で、この厳しい時を乗り越えていきましょう。不安な毎日にゆとりとユーモアで和みを・・・我々は茶の湯者ですから・・・それができると思うのです。

令和2年3月5日 畑中香名子