Posted by on 2023年04月30日 in 風の心
令和5年5月号 風の心

先月号で次回へと譲った春期講習会のページを広げてみよう。この年の講習会は平成七年五月九日(火)より始まった。

お家元(現鵬雲斎大宗匠)講話

一日目

日本は古くから神道だった。そこへ中国から仏教や儒教、道教が入ってきた。様々に入り組んだこれらの考え方の中から、大切なのは四つの美である。

心の美  行為の美(身だしなみ・行い) 言葉の美(言葉の情け)  環境の美

この四つは全てお茶に含まれている
日本人の気質で戦後を復興し、見事に幸せになった。しかし、少し豊かになり過ぎて自分の足元を見るという大切なことをしなくなってしまった。日本人の足元を今こそもう一度取り戻さなくてはいけない。茶道はそれを成すことができる。
それには〝感得〟することが大切である。(感得…奥深い道徳や真理などを感じ悟ること)

二日目

口耳は四寸の学(こうじはよんすんのがく)

知ったかぶりは一番いけない。口と耳の間は四寸。口と耳のたった四寸の間でする学問とは、人に聞いたことをそのまま別の人に伝えるだけの受け売りの学問の事をいう。物事の中身を理解しないまま、耳から入った学びをそのまま知ったかぶりをして自説のように唱えると、時に誤ってしまい真意が見失われる。

真実の目でものを見なさい。茶会に行くと、道具に触ってはいけないという光景を多々目にする。そんなことは本末転倒、手に取って感じなければいけない。もっと本当のことを知りなさい
南北東西活路に通ずとは、「関」が重要である。「関」を乗り越えたところに南北東西の活路がある。それを乗り越えるために我々は修行し、努力をしている。一方、人に南北あれども仏道に南北なし。南北東西さえもない世界がある。

三日目

自分が本当に学んだことは、人に伝えなさい。教えることが、己を反省させて勉強になる。
点前は、「位置の決定」がまず一番大切。次に「順序」、そして最後に「動作」である。
一方、花月はチームワーク、助け合いが大切である。

四日目

雨の日も気の持ちよう
感謝の気持ちを持たなくてはいけない。スチュワーデスに「有難う」の言葉を言う日本人が少ない。新幹線でも同じことで、何かしてもらっても当たり前のように何も言わない人が多い。外国では、神から受けた恩恵は自分を通して他の人々にも伝えようという考え方でサービスが行われている。だからこそ感謝の気持ちを表す。
お茶を心から楽しんで下さい。
そして念じることを忘れずに。念という字は、今の心と書きます。今この時代の心を忘れずに、今が過ぎるとすぐみんな忘れてしまうから。

掛軸: 時々勤払拭

不見斎が認得斎へ書いた軸

と、私のノートにはこんな具合に記録がある。

春期講習会は、我々研究科生にとって最初の公式講習会だった為、今日庵での稽古に緊張極まりない時間だったという記憶がある。今こうして振り返ると、そんな中に毎朝貴重な教えを賜り、お家元の目を見る時間を頂いたことに、深く深く感謝するばかりである。真実を拝見、拝聴できたことが今の自分を作っているのだと、それを無駄にしてはいないかと、改めて反省させて頂く毎日である。

令和5年4月24日 畑中香名子