Posted by on 2015年11月27日 in 風の心

待光庵では、会員の皆様と共に、茶の湯を中心とした幅広い日本文化に触れ、和を持って交流しながら様々な企画を行っている。それらを通して、自分自身を見つめる、或は一つ一つの知識を深める、或は様々な分野に触れて視野を広げる、また或は心から楽しむといった皆様のご期待に添えるよう、計画をさせて頂いている。

今年は待光庵研修旅行で岡山県と兵庫県に行った。今回も個人ではなかなか行かれない所、できない体験を中心に、オリジナルの旅作りとなった。           

新幹線は東京、新横浜から一路岡山へ。途中京都駅ホームにて、頼んであったお弁当を積み込む。電車の中で頂いた、出来たての京弁当は懐石風の中々上品なお味で、皆様ご好評の様子。電車が岡山へ到着すると、貸切バスのガイドさんが出迎えてくれた。

まず向かったのは宝福寺。こちらは雪舟が幼い頃修行したというお寺。広い境内には、雪舟の像や美しい紅葉の樹木、趣きのある建築物が並ぶ。小鍛冶ご住職様は、大変気さくにご講話をして下さった。方丈ではお寺の歴史を伺い、そのまま坐禅堂へ。禅寺での建物への入り方、様々ある足の組み方についてお話され、皆様聞き入りながら足を組む。ご専門は「茶と禅の関わり」。禅寺の朝の水三杓は、口と顔と柄杓の柄を清める。それを茶の湯の蹲踞と比較させた。禅寺では食事の用意が出来ると音で知らせ、人数などによっても鳴らし方が異なる。茶の湯の銅鑼との比較である。他にも、薬石を頂くのが懐石なので、一汁一菜で十分であること、節目で茶を頂く禅寺の茶礼とやつどきのおやつのお話、無になる事よりも集中してゆくことで見えてくる、判断できるようになる坐禅の魅力など・・・。禅の修行と茶の道を対比させながらの、分かり易いご説明。天通楓の葉が美しく風になびいていた。

続いて向かったのは、倉敷で古き良き時代の製法を守り続けている森田酒蔵。美しいお庭を眺めながら、古いお茶室で表千家のお茶とお菓子を賜り、彫の入った炉蓋の向こうに、光悦の花入れが花を引き立てていた。蔵見学では杜氏の方がその工程を詳しくご説明下さった。試飲で頂いたお酒の美味しいこと。皆様そのお酒を求められ、当庵では各地から集められた様々な食品の中から塩ポン酢を購入。美術展示も見ながら、お土産には酒粕を頂いた。その晩はままかり料理を食べ、温泉につかって体を休めた。

翌日朝、曹源寺へ。重厚な山門をくぐり、足元に掃き清められた美しい砂の柔らかい線を見つめながら一歩一歩進んだ先に、尊い曹源寺の道場を拝見。宝福寺と共に臨済宗のこのお寺は、住職様と副住職様以外は全て外国人の雲水さん達。インド人、ドイツ人の雲水さんに呈茶を頂いた。上田宗箇流家元もみえるという。事前打ち合わせ中も、海外布教、接心修行でご多忙な御身であった原田ご住職様には、何とかお時間を取って頂き、貴重なご講話を賜った。岡山藩主池田家の菩提寺である曹源寺の歴史をひもときながら、大拙禅師、儀山禅師、滴水禅師、方々より釈宗演禅師や伝衣老師と、たくさんの高僧の方々が、この地で修行され、仏教或は禅の心をお伝えになったことを知り、原点である曹源寺様の深い重みを改めて痛感した。もっと伺いたい、もっと見学したい気持ちを残して備前へ移動。

伊部の町では小西陶蔵氏が待っていて下さった。打ち合わせ通り、美味しい昼食に伊部焼のグラスでビールを頂きながら、備前伊部焼の歴史を拝聴した。登り窯やろくろの回る作業場、山野草の飾られた素晴らしい作品の数々を見学、買い物など、特別なご配慮に感謝するばかりだった。その後は皆様思い思いに、伊勢崎氏や金重氏のある通りを歩いて散策。家々の美しい屋根の線と静かな川の音、伊部の町は古を守っていた。(この続きは来月号で)   

平成27年11月17日

Leave a Reply