Posted by on 2023年03月30日 in 風の心
令和5年4月号 風の心

先月号では、稽古のノートを振り返って星野先生のお話を書かせて頂いた。同じく4月12日(水)の日記を見ると、私は次のように書いている。

「(軸) 大徳寺龍源院 細谷喝堂老師

    「日々是好日」にちにちこれこうにち

     毎日毎日が良くなるよう努力

(花入) 古銅(象耳遊環)

(花)  芍薬

  • 学園の理事がお家元から若宗匠に変わった。千坂先生 
  • くれぐれも〝腹をくくって〟〝ただ居るだけではだめだ〟
  • 南方録から 利休は〝道具の中で一番大切なのは軸である〟と言っている。」

毎日、毎朝、朝礼で掛かっていた軸、置かれていた花と花入、伺ったお話を、できるだけ記録した。途中から覚えきれなくなって空欄ばかり。しかし、今読み直すと、24時間お茶に時間を費やすことができたあの頃を有難く思い、24時間以上バスケットボールにかけていた時代と錯綜する。

臨済宗の僧侶であった千坂先生は、毎朝様々な講話をされた。「南北東西活路通」という大亀老師の軸が掛かった4月17日(月)には、

  • 桜散る  しかし時が巡れば再び花開く。人間もその様に何に動じる事無く、日々過ごさねばならない。(大自然の大きさの様に)
  • その日の軸について書かれている本を必ず毎日読むこと。

その翌日、4月18日(火)には、

  • 軸の意味は自分の心で読みなさい。

更にその翌日、4月19日(水)には、

  • 一日一日の積み重ね、日々を新しく。

いつもこんな具合に朝が始まるのだから、これ以上に有難いことはない。

現在、毎週の子供茶道教室では、その日たまたまかかっていた掛け軸について子供たちと意見を交わし、その意味について議論する。子供達が少しでもここから得るものがあればと、自分では自然にそのような流れで稽古をしているものの、今思えば千坂先生の毎日の教えのお陰様だったのだと痛感する。子供達だからこそ、こちらもうわべだけの学習でものは言えない。

5月に参加している春期講習会の思い出は次回に触れることとして、6月の相伝稽古のページを見よう。

「6月1日(木) 相伝稽古 

若宗匠の咄々斎の部屋で  

横山先生のお嬢様 真之行
神戸の方   正客
黒田宗光先生 次客
三田富子先生 三客」

思い出す、直門志俱会稽古のお部屋で見学させて頂いた時のことだ。以前より教えを頂いていた黒田宗光先生、そしていつも着物にポシェットを斜め掛けしておられた三田先生が客にお座りになり、黒髪の美しい横山先生のお嬢様が真の点前をなさっていた。続いてこう書いてある。

「永井先生の真之行、寺西先生の和巾・円草。横山先生、寺西先生、永井先生、葛西先生の会話がおかしかった。」

そうそう、先生方はいつも冗談をおっしゃりながら、茶の湯の芯を付いていた。飛び交う言葉が妙に面白いのに、貴重な教えであったのを、確かに覚えている。

「6月2日(金) 桐蔭席

戸田先生のお席へ、土本先生正客のもと入れて頂いた。」

7月には自分が亭主で桐蔭席での茶事を控えていたので、この経験も大変有難かった。

今は亡き大きな先生方は、まだまだお元気で陽気で真剣で、心から愛情深い厳しさがあった。緊張感で一杯の咄々斎の空間だった。思い出すと胸が熱くなる。そのような場に居させて頂けたことに、今でも感謝の気持ちでいっぱいになる。

令和5年3月27日 畑中香名子